赤い靴に導かれて
貴族令嬢でありながら、伯爵である伯父の屋敷で使用人同然の不遇な毎日を送るエリーは、ある日、いとこの付き添いで社交界の花形レディ・ミルフォードを訪ねた。そこで美しい赤い靴を贈られた彼女は、幸運にとまどいながらも胸を躍らせる。ところが、社交シーズンが始まる前に、エリーは突然“悪魔の王子”の異名を持つダミアンに、孤島の城へとさらわれてしまった。まもなく誘拐は人違いだったとわかったものの、一歩も外に出られない悪天候が続き、ロンドンには帰れない。閉ざされた城の暮らしの中で、エリーに細やかな心配りを見せるダミアン。世間の評判とは違う彼の素顔にふれ、誘拐を企てた理由や秘めた孤独を知るうちに、エリーは次第にダミアンに惹かれていく。そして嵐がやんだ朝、突然レディ・ミルフォードが城を訪ねてきて…。