求婚はある日突然に
芸術家でエキセントリックな両親のせいで、貴族社会からは変わり者あつかいされているデンヴァーズ家。令嬢エマは周囲から浮くのをおそれ、いつも地味な服を着て堅苦しくふるまっていた。ほんとうは絵を描くことに情熱をもっているけれど、若い娘がそんな熱意を持つことが人に知られれば、やはり変わり者だと言われかねないので隠している。会うたびにエマをからかってくる、兄の親友のラスバーン子爵は独身主義だが、結婚しないと財産を相続させないと祖母に言い渡された。困った彼は、祖母が社交シーズンでロンドンに滞在しているあいだだけでいいので婚約したふりをしてほしいとエマに頼み込む。そして、承諾したつもりはないのに、いつのまにか周りには、婚約者同士として扱われて…。思わず微笑みがこぼれる、チャーミングな愛の物語。