井上成美
無条件降伏か徹底抗戦か。“昭和の勝海舟”と称された海軍の異端児。この男なくして日本に「終戦」はなかった。継戦派が大勢を占めるなか、ほぼ独力で終戦工作を成し遂げ、八千万同胞の命を救いあげた最後の海軍大将、井上成美の爽然たる生きかたは、時代に流されず正論を堅持する美意識につらぬかれている。
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昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。 1992/07/29 発売