小説むすび | 勘十郎まかり通る 闇太閤の野望

勘十郎まかり通る 闇太閤の野望

勘十郎まかり通る 闇太閤の野望

著者

早見俊

出版社

二見書房

発売日

2019年11月26日 発売

向坂勘十郎は群がる男たちを睨んだ。空色の小袖、草色の野袴、右手には十文字鑓を肩に担いでいる。六尺近い長身、豊かな髪を茶筅に結い、浅黒く日焼けしているが、鼻筋が通った男前だ。肩で風を切り、威風堂々、大股で歩く様は戦国の世の武芸者のようでもあった。寛永十二年、大坂落城から二十年、江戸の町には未だ戦国の気風が漂い、町のあちこちで争い事が絶えない。

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