航空艦隊遂に発つ(3)
南太平洋、中部太平洋で、月山、銀河の連携プレーで撃破された米海軍は、昭和一九年五月、全兵力を投入してサイパン攻略作戦を決行した。なぜアメリカは、片々たる小島に米海軍空前の大兵力を投入してきたのか。そこには、アメリカが開発中の超極秘兵器を、我が国日本に対して使用するための作戦が秘められていたのであった。サイパンを取られれば、日本はこの超極秘兵器・原爆の攻撃を受ける。この情報をスイスでつかんだ品川大尉は急ぎ帰国する。-サイパンは守れるか。井上成美長官は最後の決戦として、連山で戦うべく発動を指令する。しかし、井上長官最後の秘策は、日米講和であり、絶対国防圏の確立である。もっとも難しい、この講和作戦を井上長官はどのように展開するのか。
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日本の軍用機共通の欠陥であった防弾無視の思想を転換し、一式陸攻を防弾タンクにした月山は、南太平洋で活躍した。しかし、しょせん改造は改造に過ぎない。米軍がさらなる新兵器をもって現われた時、改造機のもろさが露呈してしまう。昭和一八年、新鋭高速陸爆「銀河」が登場し、月山と共に戦う。そして、来るべき最後の決戦に備えて井上成美長官がうった作戦は、新鋭機「連山」の投入と、米本土爆撃機「富岳」の開発であった。はたして国防の根本である、攻めず、攻められずを可能にしてゆく井上長官の最終的太平洋防衛戦略がどのように展開するのか。中野次郎大尉たちの第一航空艦隊の熾烈な戦いが今はじまろうとしている。 1994/06/05 発売