小説むすび | 派遣艦隊出撃せよ(3)

派遣艦隊出撃せよ(3)

派遣艦隊出撃せよ(3)

「対空目標、本艦到達まであと三十秒!」「くらま」艦内にアラームが響きわたり、乗員の叫び声がこだまする…。先ほどまでの喧噪が嘘のように静まりかえった艦橋。傍らでは豊田艦長が舵輪を握っている。中西要群司令は懊悩していた。(なぜトマホークが向かってくる?この時代にはなかった兵器なのに)我々以外にもタイムスリップした艦がいた、というのが幕僚たちの見解だ。妥当な結論ではあったが、それなら彼らの目的はいったいなんなのか。中西はやめていた煙草を急に吸いたくなった。昭和十九年十二月三日。六十年前の世界に迷い込んだ自衛艦は、昼下がりの陽光に照らされ、ルソン海峡を北上していた。感動の完結編。

関連小説

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP