闘うチベット文学 黒狐の谷
現代人の孤独という同時代的な問題を投げかけるチベットを代表する作家・ツェラン・トンドゥプの初翻訳小説集。社会や宗教、政治の腐敗に対する風刺をテーマに、変わりゆく世相や、人びとの抱える現実や苦悩をリアリスティックな筆致で描き出す。
チベットの人びとだけでなく、英語、フランス語、ドイツ語などにも翻訳され、世界各地で読まれている。およそ30年にわたる作家活動の中で生み出された数多くの作品の中から、珠玉の短編15篇、中編2篇を掲載。
地獄堕ち
ツェチュ河は密かに微笑む
黒い疾風(はやて)
月の話
世の習い
ラロ
復讐
兄弟
美僧
一回の真言(マニ)
D村騒動記
河曲馬
鼻輪
両親の介護をした最後の人
あるエイズ・ボランティアの手記
ブムキャプ
黒狐の谷
訳者解説