小説むすび | 愛なき君主の手に堕ちて

愛なき君主の手に堕ちて

愛なき君主の手に堕ちて

「君を我がスイートへ連れていこうと考えている」ザジニア国の美しき王太子ケダの熱い視線に、臨時秘書のフェリシアは服をはぎ取られたような気分になった。私の仕事は彼を反対勢力の画策から守り、王位継承に導くこと。愛の営みなど、契約には含まれていない…。だが、彼女がケダの強烈な魅力に屈するのは時間の問題だった。無上の喜びの果てに小さな命を授かったフェリシアは、ふさわしい花嫁を娶る身のケダを思い、彼のもとを黙って去った。見返りのない愛に疲れ果て、深く傷ついた心を抱えて。

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