小説むすび | 拾われた男装の花嫁

拾われた男装の花嫁

拾われた男装の花嫁

この契約結婚が終わる日、
私の心は砕け散るーー

父の死後、母が家出し、借金のかたに家屋敷を奪われたカミラ。
衣食住に困って、世界的企業の総帥であるスペイン富豪、
マティアスの館へ向かった。彼が女を雇わない主義と聞くや
髪を切り、ぶかぶかの服で少年のふりをして使用人に雇われる。
泥まみれで働くかたわらを、真っ白な手をした美しい女性と
そぞろ歩くマティアスを見て、胸がざわめいたある夜ーー。
「きみは女だな。なぜぼくを欺いた?」
気づかれてしまったわ! くびを覚悟したカミラに彼は言った。
「ぼくと結婚してくれ。あくまで便宜上だが」

ゆえあって結婚を急ぐ富豪ヒーローは、よりによって兄に婚約者を目の前で奪われ、莫大な報酬と引き換えにヒロインと形だけの結婚をすることに。寝室は別と約束したものの、少年から愛らしい乙女へと変わっていく花嫁に目は釘づけで……。

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