小説むすび | まぼろしのローマ

まぼろしのローマ

まぼろしのローマ

これまで、グレーシーは独りで子育てと仕事に励んできた。19歳のときに一人旅したローマで運命的な出会いをはたし、息子を授かったことは今も決して後悔していない。子供の父親のマリクが滞在していた豪華ホテルのスイートで、住む世界の違いに驚きながらも、初めての経験に我を忘れたのだった。ところが直後に、彼の祖父だという老人が部屋に押し入ってきて、みずからを一国の君主と名乗り、マリクは後継者だと告げた。グレーシーは蔑まれ、傷つけられたすえ…はかない恋は、終わった。だが10年後、あの日のままのマリクが、ふたたび目の前に現れるー彼女の唯一の宝物である息子を、自分の跡継ぎに据えるために。

関連小説

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP