小説むすび | 運命の鎖

運命の鎖

運命の鎖

切なさや悲しみはこらえてきた。
でも、こらえきれない涙もある……。

領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家におばと暮らしていた。
だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、
半月のあいだに家も明け渡すように言われてしまう。
かつて孤児となったスザンナを、おばは快く引き取ってくれた。
以来、ここは唯一安心できる我が家だったのに……。
退去までにすべきことを、スザンナが紙に書き出していると、
目の前に、おばの最期を看取った外科医のガイが現れた。
初対面では冷たい印象だった彼も、今は気遣う表情を見せている。
その瞬間、懸命にこらえていたはずの悲しみが、
大粒の涙となって、スザンナの青白い頬を流れ落ちたーー

不遇ながらも一生懸命に生きる主人公を数々描いたB・ニールズですが、中でも本作のヒロインは屈指のいじらしさ。交通遺児となり、大学に行く夢が叶わなかった切なさを抱えていても、けっして顔には出さないスザンナが、なぜかガイに対しては感情を隠せず……。

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