ほどけた絆と小さな奇跡
病弱な母と車椅子暮らしの妹のため、医師になったエルスペス。あるとき上司の結婚式に列席した彼女は、浮かない顔をしていた。エルスペスの家族に理解のない冷たい婚約者と半年前に別れ、いまだつらい思いを抱えている彼女に、見知らぬ男性が声をかけてきた。フレーザーと名乗った彼も、親戚づき合いで仕方なくここにいるという。意気投合した二人はいつしか式場を離れ、めくるめく夜をともにした。けれども、婚約の破談後にもう恋愛は無理だと悟ったエルスペスは、翌朝ため息とともに彼のベッドからそっと脱け出したのだった。一瞬、人生を変えられればいいのに…と思った自分を責めながら。6週間後、彼女は妊娠検査薬を手に、バスルームに立ち尽くしていたー