小説むすび | 男装の天使と憂いの伯爵

男装の天使と憂いの伯爵

男装の天使と憂いの伯爵

土埃だらけの服の下には、
隠しきれない玉の肌と、美しい曲線。

海軍で輝かしい戦果を残した後に負傷して帰郷した、
第10代ライブンホール伯爵マックスは、世を儚んでいた。
ある日、領地を馬で駆けていると、奇妙なものが目に入った。
男物のズボンに包まれた尻がもぞもぞ動き、しきりに何かを掘っている。
何やつ、盗賊か? 鋭い声で呼び咎めると、男ははっと顔を上げた。
眼鏡越しに見開いた大きな丸い目、麻のシャツの開いた胸元ーー女か?
「伯爵さま、どうか怒らないで。古代遺物を発掘したいだけなんです」
エフィは近くに住む天涯孤独の若い女性で、歴史が好きなのだと言う。
失せろと命じたが、彼女は夜中にこっそり領地に入ってきているようだ。
女性が夜に一人では危険だ! マックスはつい手を差し伸べてしまいーー。

新作家ヴァージニア・ヒースの登場です。傷ついた心身を持て余し隠遁する伯爵ヒーローと男装のヒロイン。女性として見られたことがないエフィにとって、恋愛や結婚は夢物語でした。でも伯爵は、彼女のズボン姿を好ましくさえ思っているようで……?

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