小説むすび | 罪なき誘惑

罪なき誘惑

罪なき誘惑

二十歳のルイーザは決意を胸にロンドンのとある屋敷へやってきた。両親亡きあと、家督を継ぐはずの兄ジェームズは放蕩の限りを尽くし、故郷にも戻らず、毎夜賭事をしては大金をすっている。今すぐあの悪習を断たなければ、唯一残った館も人手に渡ってしまう。だが時すでに遅く、兄は一世一代の大勝負に出ていた。相手はカードの名手で社交界の重要人物、アリステア・ダンスタン卿。案の定、勝負を制したアリステアはしかし、その後に大きな過ちを犯す。ルイーザをジェームズの愛人と思いこみ、露骨に言い寄ったのだ。無垢な彼女は館を守りたい一心で、捨て身の作戦に出た。「4000ギニーいただけるなら、ひと晩、お相手を務めます」

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