小説むすび | 淑女と娼婦

淑女と娼婦

淑女と娼婦

伯爵に蔑みの目を向けられたのに、
彼の誘惑に抗えないなんて……。

なぜ姉の突飛な頼みを聞き入れてしまったのかしら?
純朴でまじめなルシールはしきりに後悔していた。
父の死後、姉は相続のためにさる伯爵領内の屋敷に住む必要があった。
だが、留守中にルシールが姉になりすますのはあまりに無謀だった。
双子の二人は顔がそっくりでも、性格もふるまいも……なりわいも違う。
ルシールは地味な教師で、姉は社交界に名を馳せる高級娼婦なのだから。
領主のシーグレイブ伯爵はもちろん、村人からも白眼視される毎日。
次々とつらい目に遭い、思わず涙を流してしまった彼女を見て、
伯爵は目の前の女性が自分の知る人物らしくないことに気づいた。
ほどなくルシールは仰天の誘いを受けるーー僕の愛人にならないか、と。

太陽と月ほど違う性格の双子の姉に代わり、不機嫌な伯爵や村人と渡り合わなければならなくなったルシール。皆の敵意は本来、姉に向けられているとはいえ、手酷い仕打ちに傷つきます。うぶな彼女と伯爵との成就しそうもない恋は、いったいどうなることやら……。

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