小説むすび | 伯爵を待ちわびた壁の花

伯爵を待ちわびた壁の花

伯爵を待ちわびた壁の花

社交界デビューの夜、バイオレットの夢は砕け散った。幼なじみのセスと最初のダンスを約束していたのに、彼女のドレス姿を見たとたん、彼は何も言わずに背を向け、そのまま別れの言葉もなく戦地へ行ってしまったのだ。わたしが美しくないから、きっとセスは幻滅したんだわ…。それからの月日は絶望のうちに過ぎ、6年が経った。夫を見つけられないなら出て行けと父に叱られたバイオレットの前に、戦地から帰還したセスが現れる。罪深いほどすてきな男性になって。兄亡き後ダルトン伯爵の称号を継いだ彼は、近く妻を迎えるという。そして、彼はバイオレットにきいたのだ。「なぜ君はまだ独身なんだ?」。

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