緑の乙女に口づけを
「いつも白衣を着ているように」
彼はなぜ、私にそんなことを求めるの?
夜勤の日、看護師のジョージーナが交通事故に遭った子どもたちを
手当てしていたところへ、背の高い見知らぬ男性が現れた。
父親だろうと思って接していたが、じつはオランダの高名な医師で、
子どもたちの後見人のユリウスだということがわかる。
勤務を終えて眠りに就く前、彼女はユリウスのことを思い出した。
すてきな人にぴったりの名前ね。口元もとてもやさしげだった……。
その後も、気づくと彼のことを考えてしまうジョージーナだったが、
ただの看護師が名医に恋するなんてと、慌てて想いを打ち消した。
ところが後日、彼女は憧れのユリウスから思わぬ申し出を受ける。
「住み込みの看護を頼みたいので、君を借りることはできないか?」
働き者でみんなから慕われているジョージーナは、ユリウスに誘われて彼の屋敷で働くことになります。やがて子どもの怪我が回復したら、嬉しい一方で、ユリウスと会うことももうなくなるのかと考えると暗い気持ちになるのでした。1970年代の貴重な初期作です。