小説むすび | 哀愁のプロヴァンス

哀愁のプロヴァンス

哀愁のプロヴァンス

病弱な幼い息子ジョナサンには転地療養が必要だと医療に勧められ、ダイアンはうなだれた。私にそんなお金なんてないわ。いいえ、1つだけ残された希望はあるけれど…。ダイアンは意を決して、3年ぶりにプロヴァンスを訪れた。当時と変わらない美しい風景の中に、変わり果てた彼が現れた。本当にマノエルなの?熱く輝いていた瞳は、今や氷のようだ「なぜ僕に会いに来た?目的は金か?」嘲るように彼が言った。富豪の彼に金の無心をする者は、ダイアンだけではないのだろう。だが、あなたの息子のためだとは口が裂けても言うつもりはない。彼に知られたら最後、奪われてしまうとわかっているのだから。

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