情熱の傷あと
親友の双子の出産の手助けのため、クレアはイタリアを訪れた。空港で出迎えてくれるはずだった親友の夫の代わりに現れたのは、彼の弟。目も眩むほどハンサムなロマーノだった。巨万の富を誇る大物実業家の彼は、初対面から皮肉っぽい言葉や態度でクレアをいら立たせた。なんて高慢な人なのかしら。どきどきするわたしがおかしいのよ。しかも、彼は断言しているー愛など幻想だ、絵空事にすぎない、と。きっと亡くなった美しい妻を忘れられずに、心を閉ざしているのだ。こんな人を愛しては絶対にだめ。クレアはよくわかっていたのだが…。