小説むすび | 十八歳の許嫁

十八歳の許嫁

十八歳の許嫁

イゾベルが初めて彼に会ったのは、18歳の誕生日だった。ラファエル・ロメロー傲慢で冷酷な大金持ちの若き実業家。彼こそは、イゾベルがまだ8歳のときに決められた許婚なのだ。ラファエルの支援がなければ、彼女の家は破産の憂き目に遭う。「あなたと結婚するくらいなら、死んだほうがましよ!」爪を立てる仔猫さながら言い放ったイゾベルを、あろうことかラファエルは抱き寄せて濃厚なキスをし、再会を約束した。3年後、パリ。実家を出たイゾベルは貧しくも自由に暮らしていたが、21歳の誕生日の夜、彼は現れたー妻を迎えに来たと言って。忘れもしないあのキスが、戦慄となってイゾベルの体を駆け抜けた。

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