小説むすび | すてきな暴君

すてきな暴君

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ひと月ぶりに愛する我が家へ戻ってきたジュリアは愕然とした。留守中に父が破産し、屋敷を売り払うことになっていたのだ。買い手は悪名高いギリシア人富豪、アレックス・コンスタンティス。アレックスと顔を合わせた瞬間、ジュリアは驚きを隠せなかった。さっき私が不法侵入者と間違えた礼儀知らずな人だわ!アレックスはあろうことかジュリアを気に入り、誘惑したばかりか、ぼくのものになれば屋敷を手放さずにすむと言って求婚してきた。尊大な物言いと冷たい微笑に、不本意にも感じたかすかな胸のときめき。ジュリアはそれを無視して、彼の申し出を受けた。これはすべて家のためーそう自分に言い聞かせながら。

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