伯爵が愛した灰かぶり
伯爵の目に飛び込んできたのは、
王女のドレスをまとった、清貧の乙女。
両親亡き後、エレナーは老婦人の付添人としてつましく働いていたが、
ある日突然、婦人の親戚ラヴェナム伯爵からプロポーズされる。
ハンサムでやさしい彼を密かに慕ってはいたけれど、
話が合う君となら、ベッドで飽きてからも穏やかに暮らせるだろうから、
などという理由で結婚なんて。ショックで逃げ出したエレナーは、
ひょんなことから、さる公爵未亡人の町屋敷で世話になることに。
事の顛末を聞いた公爵未亡人は面白がり、伯爵の追跡をかわすため、
エレナーを豪華なドレスと宝石で飾り、架空の国の王女に仕立て上げた。
変装の成果を試したい夫人に、あらゆる夜会や舞踏会に連れ出されるが、
そこには必ず、怒りにたぎるまなざしのラヴェナム伯爵がいるのだった。
ヒストリカルのベテラン人気作家アニー・バロウズが贈る『公爵の秘密の願い』の関連作です。伯爵は、エレナーの変装も、彼を欺くことになり自己嫌悪に陥っている彼女の心もお見通し。公爵未亡人の前では調子を合わせながらも、ある夜ついにしびれを切らしーー