小説むすび | 伯爵家の事情

伯爵家の事情

伯爵家の事情

誕生日の夜、ロス侯爵グレイは社交界の集まりから屋敷へ戻り、書斎に足を踏み入れたとき、ただならぬ気配を感じて身構えた。そこには、薄汚い服を着たひどい身なりの少年が一人。少年は銃を構えて叫んだ。「妹の純潔を奪って孕ませた責任をとれ!」世間から罪作りな男と呼ばれてはいるが、まるで身に覚えがない。グレイは隙をついて銃をたたき落とし、少年を床に組み敷いた。よく見れば、艶やかな肌に、丸みを帯びた頬、豊かなまつげ…。少年のだぶだぶの上着の下に手を入れ、体に触れるーこれは、女だ!だが次の瞬間、銃を取り返そうとする“少年”ともみ合った勢いで弾丸が飛び出し、体を貫かれたグレイは、崩れるように気を失った…。

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