小説むすび | 路地裏のシンデレラ

路地裏のシンデレラ

路地裏のシンデレラ

朝が来て、シンデレラは路地裏に戻った。
王子と永遠の絆で結ばれたとも知らず。

6年前、サマンサは王子にして外科医のハリドと恋に落ちた。
突然、花嫁としてふさわしくないと、彼がサマンサを切り捨てるまでは。
彼女はずっと異性関係の派手な母と、服役中の兄に苦しめられてきた。
そんな育ちのわたしが、王子の配偶者としてふさわしいわけがない。
しかしそのハリドから、自分の祖国で一緒に働いてくれないか、
という依頼が飛びこんできて、サマンサの心は揺れた。
恐れていたとおり、再会するなり彼女の目はハリドに釘づけになった。
その堂々とした姿は相変わらずで、いかにも王族らしい。
サマンサの胸は締めつけられた。だから、わたしは分不相応だったのだ。
頭ではわかっている。でもなぜか、ときめく胸はわかってくれない……。

ヒーローに捨てられた過去を持つヒロインは、彼のそばで働くこととなり、かつての失恋の痛手がうずき出します。王子との結婚なんて望まない。でも一度でいいから、彼に求められたという思い出をください。その後、小さな命が彼女のおなかに宿ってーー。

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