小説むすび | 遠回りのラブレター

遠回りのラブレター

遠回りのラブレター

あなたは我が子のために帰ってきた。
わたしを愛していたからではなく……。

ベスとカラムは平凡ながらも幸せな夫婦……のはずだった。
けれど彼女にはなかなか赤ん坊ができず、不妊治療も失敗が続いた。
そんな妻に愛想を尽かしたように、カラムは離婚を切り出し、
仕事と言って遠い異国へ旅立ってしまう。
ところがその後、ベスは自分が妊娠していることに気づいた。
やっと苦労が報われた。これでカラムとわたしは親になれる……。
だが喜びは続かず、ベスが書いた手紙に彼からの返事はなかった。
捨てられた失意の中、彼女は待ち望んだ赤ん坊を出産して育て始める。
だから1年後、突然カラムが戻ってきても、ベスの気持ちは複雑だった。
心は親子で拒絶された悲しみと、今もつのる彼への愛に引き裂かれていた。

2017年、惜しくもこの世を去った名作家J・テイラー。今作は彼女が闘病中に執筆した一作です。元夫婦のあいだに生まれた、未来の象徴である小さな女の子に、作家がどんな思いを託していたか……。愛と命を紡ぐ温かな涙流れる物語を、どうぞお読みのがしなく!

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