小説むすび | スター作家傑作選〜あなたを思い出せなくても〜

スター作家傑作選〜あなたを思い出せなくても〜

スター作家傑作選〜あなたを思い出せなくても〜

「鏡の中の女」(シャーロット・ラム/馬渕早苗訳)目覚めるとそこには、濃い霧に覆われた荒れ地だった。ここはどこ?わたしはなぜこんなところに?それより、自分が誰なのかすらわからない!寒さと恐怖に震えていると、霧の中に長身の人影が。衰弱した彼女は、通りがかりのその男性に連れられて病院へ行ったが、不可解なのは、ジェイクという名の彼が敵意のまなざしを向けてきたこと…。数日後、退院を許された彼女のもとに、再びジェイクが現れた。いまだ記憶が戻らず途方に暮れる彼女に、彼はあっさり言った。「君の名前はリン・シェリダン。君は僕のものなんだ」 「アンダルシアにて」(ヴァイオレット・ウィンズピア/斉藤雅子訳)青白い顔をしたアラベルの病室には、高価な見舞いの品々が毎日届けられる。送り主はスペイン人の名士で、彼女の“夫”であるコルテスだという。記憶喪失のアラベルには、結婚など身に覚えがなかった。そこはかとない不安を感じていた彼女の前に、ある日、夫が現れた。威厳に満ち、尊大な雰囲気漂うコルテスを見て、アラベルが思わず結婚の無効を申し出ると、彼は言った。「君には僕しかいない。君は僕の妻なんだよ」そして、豪奢な屋敷にアラベルを連れて帰ったコルテスは、名実ともに妻となることで要求してきて…。

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