ジゼルの不条理な契約結婚
ジゼルは代々続いてきた家業の会社を倒産から救うため、冷酷非情で有名な富豪アダムに助けを求めた。南仏のレストランに現れたアダムはとても大柄で屈強な男性で、いきなり彼女をファーストネームで気安く呼ぶほど傍若無人だった。なんて失礼な人。ジゼルは憤概したが、彼の機嫌は損ねられなかった。緊張で食べられない彼女と違い、アダムは食欲旺盛に料理を平らげるとにこやかに言った。「僕は君が欲しい。僕と結婚するなら金を出そう」ジゼルは屈辱と怒りで爆発しそうだった。けれど心の奥には、アダムの荒削りな魅力に惹かれるのをとめられない自分がいた…。