小説むすび | 睡蓮のささやき

睡蓮のささやき

睡蓮のささやき

愛しすぎれば傷つくと知る娘は、
愛を恐れ、愛を隠す……。

ヘロンは幼いころ、睡蓮の花を摘もうとして湖に落ちた。
そのとき助けてくれた庭師の青年のことが忘れられず、
美しく成長した今も、ほかの誰も愛することができずにいた。
とはいえ、その青年のことはおぼろげにしか憶えていないけれど。
ある晩、ヘロンはパーティで端正な紳士に突然プロポーズされる。
エドウィンと名乗った彼は外国から戻ったばかりの実業家で、
町外れの海に面した崖に立つ“ガラスの城”を買い取ったので、
そこに似合うような美しい若妻が欲しいのだという。
よく知りもしない年上男性と暮らすなんて、絶対にいや!
激しく拒むヘロンを、彼はすべてを見透かすような目で見つめ……。

不世出の作家ヴァイオレット・ウィンズピアが生んだ名作の中でも特におすすめの本作には、まるで言葉の宝石箱のように美しい表現が詰まっています。幻想的な初恋と年の差ロマンスが描かれ、ウィンズピアの耽美な世界観を存分に味わえる極上の物語です。

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