小説むすび | クリスマスの受胎告知

クリスマスの受胎告知

クリスマスの受胎告知

小児科医のメリーはイギリスから飛行機でアイスランドに来ていた。今は山道にいて、頭から爪先まで雪まみれでこごえている。彼女には大事な目的があった。一夜をともにしたクリスチャンに、“あなたの子を妊娠した”と言わなくてはならない。段ボールに入れられて教会に捨てられていた私のように、おなかの赤ちゃんを父親のいない子にはしたくないから。でも、つかの間の関係以上を求めなかった彼には何も期待していない。寒さに震えながらクリスチャンが勤める病院に着いたメリーは、雪で道が通行止めになり、町から出ていけなくなったことを知る。さらにクリスチャンは意外にも、「父親になりたい」と言い出して…。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP