小説むすび | 愛を守る者

愛を守る者

愛を守る者

生きて故郷へ帰ってきた勇猛な騎士サイモンの姿に、二十歳のリネットの胸はいっぱいになった。4年前のあの夜、わたしは暗闇のなかで彼に純潔を捧げ、そして…わたしのおなかに新たな命が芽生えた。一方サイモンもまた、あの夜のことを思い返していた。酔いつぶれた出征前夜に、夢うつつでかき抱いた薔薇の香りの乙女。かぐわしい乙女はいまもここで暮らしているのだろうか?もちろんサイモンはまだ知る由もなかったー彼が父の愛人と思って軽蔑する女性こそが、夢にまで見た、あの薔薇の香りの乙女だということを!

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP