小説むすび | 伯爵と一輪の花

伯爵と一輪の花

伯爵と一輪の花

二十歳のバーナデットは今、野心家の父の道具になろうとしていた。上流志向の父は金に物言わせ、娘を没落貴族に嫁がせようと躍起なのだ。喘息持ちで体の弱い私が相手方に歓迎されるはずがないし、好きでもない人と生涯をともにするなんて、つらすぎる…。そんな窮地に陥ったバーナデットに突如結婚を申し出たのは、10年来の隣人であるスペインの伯爵エデュアルドだった。冷酷で悪名高い、16歳年上の彼とは会えば喧嘩する仲だけれど、本当は、彼を目にするだけで胸の高鳴りが止まらないほど好きなのだ。思いがけない求婚に舞いあがったバーナデットだったが、同時にエデュアルドは、うぶな彼女の心をかき乱す不埒な言葉を吐いた。「ぼくにとって愛とは、結婚指輪より、寝室にかかわることだ」

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