小説むすび | 砂漠のばら

砂漠のばら

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ローズは病後の療養のため、王の専用飛行機で、石油の国ラス・アルハジャールを訪れていた。王室御用達の獣医である兄に招かれたのだ。ある夜、兄と車で出かける途中、突如暗闇から馬が躍り出てきた。急ブレーキを踏んで車を停止させるや、兄は馬を捜しに行ってしまう。慌ててローズも飛び出すと、誰かに口をふさがれ、抱き上げられた。全身黒ずくめの男は黒い頭巾をかぶり、灰色の目しか見えない。だが光る目を見て直感した。飛行機に同乗していたハッサン皇子だわ!あの鋭い瞳を忘れようはずがない。でも、なぜ彼が私を誘拐するの?たくましい腕に連れ去られながら、ローズは恐怖に震えた。

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