小説むすび | シークとの千一夜

シークとの千一夜

シークとの千一夜

砂漠の国カリスタで、エレニは夕日が沈む地平線を眺めていた。いつもは横暴な父親も、今日はひどく上機嫌だ。これから高貴な身分の客人が来て、夜を過ごすからだ。どうせ酔った父親の戯言よ…と思っていると、美しい馬を駆って、たくましい男性が突如彼女の前に現れた。この国では知らぬ者などいない、プリンス・カリクだ。みすぼらしいあばら家を見下したように見まわしている。だが飲み物を差し出すエレニを見て、彼はひどく驚いたようだった。そう、彼女はカリスタの伝説にうたわれる緑の瞳の持ち主だったのだ。プレイボーイと名高いプリンスに見つめられ、エレニの頬は紅潮した。傲慢なシークの、身勝手な寵愛。プリンスに連れ去られ、宮殿の贅沢なベッドで愛撫され、身も心も蕩かされるエレニ。禁断の宮殿ロマネスク、『愛に惑うプリンス』の関連作。

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