恋わずらい
両親亡き後、伯母夫婦の豪邸で無給の小間使いのように働き、美しい従姉デラの影のように生きるアビー。そんな彼女の胸に、ただひとつ灯る火があった。それはデラの婚約者バスコ・ダ・カルバリュの存在だ。ある日アビーはデラに頼まれ、バスコに手紙を渡しにいく。都会で贅沢をしたいデラの、農園経営の夢には付き合えないという、バスコへの婚約破棄の最後通告だった。その夜、酔いつぶれたバスコを家に連れて帰ると、淋しさからか、彼はそっとアビーに触れてきて、ふたりは結ばれた。だがそれは、アビーにとって悲しくも辛い恋の始まりだった。