六月の贈り物
あと5年。それがマリに残された時間だった。宣告を受けた彼女は喧噪のニューヨークを離れ、“その日”を待ちながら、一人静かに暮らしていた。そんな6月のある朝、彼女の庭を奇妙な影が横切る。気球だわ、すごい!息を切らして追いついたマリの前に、サングラスの似合う、身なりのよい紳士が降り立った。彼はアンガス・オニール。ニューヨークの実業家だ。裏手の土地を買ったという彼は、マリの新しい隣人になった。孤独を求めて都会を離れたはずなのに、二人は急速に惹かれ合う。だがマリは彼のプロポーズを拒み続けるー絶望の想いで。