ブラックメイル
訪れた城で、リーはショーヴィニー伯爵ことジルと再会する。
6年前の夏、16歳のリーは端麗な美貌のジルに幼すぎる恋をした。
だが純粋な想いは、いつでもちょっとしたことで汚される。
ふたりに嫉妬した友人が、リーの字体をまねて、
潔癖なジルにいかがわしいラブレターを出したのだーー。
今だにリーが書いたと信じる伯爵は、蔑みの色を浮かべ、脅した。
君は僕と結婚するんだ。さもないとあのコピーをばらまくと。
さらに、これは愛ではない、単なる欲望だともつきつけられて、
古傷をかきむしられたリーの心は、声にならない悲鳴を発した。
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伯爵による“ブラックメイル”-- それは、世にも傲慢なプロポーズ。 リーは16歳の夏、端麗な美貌の青年ジルに恋をした。 だが彼女の純粋な想いは、ふたりに嫉妬した友人によって汚された。 友人が陰でリーの筆跡を真似て、はしたないラブレターを偽造したのだ。 当然、育ちのいいジルから軽蔑され、リーの初恋は散った……。 それから6年後、リーは出張で訪れた美しい城で、 ド・ショーヴィニー伯爵ことジルと偶然の再会を果たす。 取引相手が彼だったなんて! 知っていたらここへは来なかったのに! リーの内心の動揺を知ってか知らずか、ジルが衝撃の提案をした。 「明日、僕と君は結婚する。妻の座を狙う愛人を追い払いたくてね」 さもなくば、“あのラブレター”のコピーを利用するぞ、と脅してーー。 そのラブレターは私が書いたものではないと、どれだけリーが訴えてもジルは納得しません。飽きのきた愛人を体よく追い払う道具に使おうだなんて、なんて傲慢な伯爵なのかしら! いくら腹立たしくとも、リーに拒否するすべはなく……。1982年の名作ロマンス。 2025/07/25 発売