暁を追って
「僕は妻に金を出すと約束した。妻を抱くのは当然のことだ」ロレインがいつまでも拒むので、傲慢な夫は腹を立てている。「結婚前からバージンじゃなかったくせに、なぜもったいぶる」彼は知らない。私の体が無垢なことも、この胸に秘めた思いも。堪えきれない涙がひと筋、ロレインの頬を伝った。病室で一人、苦しむ妹の治療費のためなら何でもする覚悟だった。けれど、大富豪の夫ハルに惹かれるとは夢にも思わなかったのだ。しかもある“秘密”を、夫に絶対に知られてはならない。自分がハルの妻ではなく、彼女の双子の妹だということを。