魔法の都ウィーン
コーデリアは父亡きあと、継母にずっと粗末に扱われてきた。だから、住み込み家庭教師の職を得たときはうれしかった。しかも教え子の少女の同行で、ウィーンに赴くことになったのだ。少女の伯父の家にしばらく滞在するのだという。伯父のチャールズは長身の、とてもハンサムな麻酔医だった。冴えない容姿の彼女をちらりと見るや、見下した顔をしたので、コーデリアは芽生えかけた恋心を封印した。永遠にーでも人々は言うのだ。ウィーンには不思議な魔法がある、と。だから願わずにはいられなかった。先生に魔法をかけられたら。