幾度も愛をささやいて
結婚式の夜、二十歳の花嫁ルーシーは年上の夫に宣言した。
“結婚しても絶対にベッドは共にしない”と。
愛し合っての結果ではなかった。選択の余地などなかった。
父親の死後、莫大な借金があるとわかり、投資の条件として、
幼なじみの大富豪ジャスティンに結婚を申し込まれたのだ。
それにルーシーは傷ついてもいるのだ。そのむかし、
ジャスティンには、叶わなかった恋人がいたと知った日から。
ほかに好きな人がいるのに、どうして幾度も愛をささやくの?
誰よりも甘やかしてくれるジャスティン。心から慕っていたのに。