小説むすび | 熱砂に燃えて

熱砂に燃えて

熱砂に燃えて

兄が拉致されたという知らせを受けたクリスティは、
いま、とある国の権力者との面会にうち震えていた。
シーク・シャリフ・ビン・ユセフ・アル=サエド。
世界を股にかけた実業家として、その名を知られる大富豪だ。
だがクリスティには、彼の取り澄ました美しい仮面の下に、
冷酷非情な顔が潜んでいるように思えてならない。
事実、クリスティの必死の懇願さえ、鼻であしらい、
自分の愛人になるなら考えようと、こともなげに言い放ったのだ。
クリスティの美しい髪や肢体を無遠慮に品定めしながら。

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