胸に秘めた愛
シオーナは不安げな面持ちで、義兄ジェイクの前に座った。
16歳のときに母が再婚してから、憧れ続けた義兄だったが、
その蜜月は、もう一人の義兄の死で終わってしまった。
弟を誘惑し、シオーナが破滅へ導いたと信じ込んだジェイクに、
誤解と嘘でねじ曲げられた真実は、決して届かないーー
蔑みに歪んだ瞳で、苦々しげにジェイクは切り出した。
「誘惑する小悪魔め。だが、それも終わりだ。僕は結婚する」
とりつく島もない突然の縁談に、シオーナは一瞬息をのみ……
捨てきれないジェイクへの想いが砕け散るのをただ感じていた。