小説むすび | 亀たちの時間

亀たちの時間

亀たちの時間

イタリアの新星
フランチェスカ・スコッティ、初の邦訳

舞台はイタリアと日本。
ずっと終わらないことなんて、ない

夫婦、恋人、親友、家族……、
ふとした出来事をきっかけに
かけがえのない関係が崩れ、終わっていくシーンを
静かに描きだす15篇のショートストーリーズ。

 ウエイトレスがやってくる。コーヒーと温めたタルトの香りがする。一匹の犬が吠える。ウエイトレスは飛びあがり、わたしも飛びあがる。わたしは粉々になったカップを見る。太陽に焼かれた板のあいだを黒い液体が流れていく。わたしがあなたのほうを向き、あなたを呼ぼうと腕をのばしたとき、あなたはもうそこにはいない。空になったあなたの椅子がわたしを怯えさせる。わたしは立ちあがり、あたりを見まわす。あなたはいない。(「ルナ」より)
[収録作品]
ルナ
次の駅
亀たちの時間
喉が渇いていて、いま水を飲もうとしている者の平安
びっくりパーティ
ナカノさん
鯨のひげ
朝ごはんで
貝殻の島
誕生日
《ピッコラ・ジェラテリーア》
パンダ動物園
面接
ショーの終わり
月の暦

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