小説むすび | 舟

知られざる日ロ民間交流の歴史

終戦直後、北方領土のとある島で、日本人とロシア人が「共生」していた一時期がありました。引揚げの日の朝、海で遭難したロシア人の子どもたちを救出するために、一人の日本人漁師が単身海へ出て重出に成功。その奇跡的な救出劇と、当時の日本人とロシア人の「共生」のあり方を描いたノンフィクション小説が、この表題作「舟」です。
これに加え、日ロ双方の元島民たちと、元島民子孫へのインタビューを収録しました。終戦後、シベリアなど北方からの引揚げは過酷なものでした。しかしその一方で、北方領土では日ロ双方の住民同士が、いがみあうことなく共同生活を送っていた事実もあるのです。
歴史の表舞台では描かれてこなかった、知られざる民間交流の実態が本書で明らかになります。
まえがき

舟 北方領土で起きた日本人とロシア人の物語〜
  一九九二年 極東ロシア
  志発島(歯舞群島)にて 一九四七年
  北海道 根室、現代

元島民たちの記憶とその子孫の声
 ガリーナ・ニキーチチナ・ラーピナさん(一九三八年生まれ)の体験
 志発島 元島民の木村芳勝さん(一九三四年生まれ)の体験
 曾祖母、祖父の島、「シボツトウ」と私の血を巡る旅 山田淳子

解説 樫本真奈美

北方四島関連年表

訳者あとがき

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