小説むすび | 惨憺たる光

惨憺たる光

惨憺たる光

私たちの内側はどうしてこんなにも、一寸先も見えない闇なのだろう。まるで誰も住む者のいない、がらんどうの木の洞のように(「ストロベリー・フィールド」)。私はその明かりが怖くてぎゅっと目を閉じた。そのころ、闇より怖いのは光だったから(「夏の正午」)。先輩の浅黒い手に、白くてもろい雪が静かに、そして永遠のごとくゆっくりと舞い落ちた(「初恋」)。光と闇、生と死。心は彷徨いながら揺れ動く。初邦訳作家の十の短編。

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