邪馬台戦記
3世紀初頭、弥生時最後期。「倭国大乱」と呼ばれ、長く戦いの中にあった瀬戸内海沿岸部も、そのころになると、わずかながら平和な日々が続いている。その集落のひとつ、ウクイ村も一見穏やかな春を迎えていたが、村の秘密を知る大人たちの間には暗い影が差していた。卑弥呼のおさめる女王国に従わず、近隣諸国から税を取り立てるクナ国は、過去のある出来事を盾に、数年置きに生口(奴隷)として少年少女をさらっていく。一度クナ国に連れられた者は、二度とウクイの土を踏むことはなかった。今年がその年。十二歳となった少年ススヒコは、幼馴染の少女ツナテが生口に選ばれたことを知り、自らも名乗りをあげ、クナ国へ向かう。
一方、中国(後漢)から卑弥呼の元をたずねた使者・公達は、卑弥呼から意外な依頼を受ける。それは、クナ国の暴君にして自身の弟、ハヤスサの討伐だった……。
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邪馬台国はどこにあったのか、卑弥呼は一体どこからやってきたのかーー日本のルーツと歴史上最大のミステリーに迫る古代冒険小説、第2巻。セリカ(中国)の東方、海の果ての火山島に、人の成る木があるという。木の実は美しい女性の形をしており、熟すとワークワークと啼いて木から落ちるとか。故にその島の名は「ワク」という。この伝説に憧れたひとりの男が、「ワク」を目指してローマの都を旅立った。一方、「ワク」の島で“鬼道を事とし、よく衆を惑わ”す女王・卑弥呼は、ひそかに苦悩していた。このナカツクニ(邪馬台国)は大きくなりすぎたーー。人々を養うためには東の国との貿易が不可欠。しかし、その船団は、海霧に姿を隠した巨人に襲われ打ちしずめられたという。卑弥呼の命を受けた少年ワカヒコは巨人が棲むという東の国、蓬莱国の秘密を探る旅に出た。 2019/01/24 発売