小説むすび | 一〇の国旗の下で 満洲に生きたラトヴィア人

一〇の国旗の下で 満洲に生きたラトヴィア人

一〇の国旗の下で 満洲に生きたラトヴィア人

満洲に生まれ育ったラトヴィア人が描く
グローバルな満洲史

ハルビンは十九世紀末の建都以来、およそ半世紀の間に、目まぐるしく支配者を替え、それとともに様々な民族が出入りし、多民族のるつぼが描き出す町の絵柄も変わっていった。そのすべてをハルビンに生きて自ら経験したからこそ、カッタイスは自分の上に「一〇の国旗」がはためくのを目撃するという歴史の稀有の証人になったのだった。(沼野充義)

満洲と呼ばれた、二度と繰り返されることのない地球のすばらしい一郭に運命に引き寄せられた中国人、ロシア人、日本人、朝鮮人、ユダヤ人、タタール人、ポーランド人、そしてラトヴィア人とが、寄り添うように生きた日々を書いたにすぎない。……下世話な話ばかりで真面目さに欠けると言われるなら、それも仕方があるまい、フランス語ならケセラセラと言うところだ。世界の波に揺られる人間の営みは、万事ろくでもない勘違いかもしれないのだから。(カッタイス「あとがきにかえて」より)
第一の旗 ブヘドゥ
ハルビンへ
第二の旗の下
第三の旗
第四と第五の旗
第六と第七の旗
いざ進学
働きだす
清水学長の追放
日本の降伏
早くも第八の旗、ソ連軍にて
東洋経済学部
人生九番目の旗
あとがきにかえて

ハルビンという民族のるつぼでーー二度と繰り返されることのない地球のすばらしい一郭 沼野充義
訳者あとがき

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