寝盗る女 (上)
死んだはずの“魔性の女”が再び現れた……
かつて彼女に振り回された苦い経験を持つ三人の中年女性が、若き日を回想しながら新たなる人生の危機に立ち向かう。鋭い時代感覚で照射する80年代カナダの肖像。ミステリー仕立ての知的エンターテイメント。ブッカー賞受賞作家の長編小説!
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“魔性の女”ズィーニアの正体は?──人生を弄ばれた、三人の女性に執拗に取り憑くズィーニアの影が、再び三人を危機に追い込む。その結末は……。 ──アトウッド自身「自分の作品の中でも、いちばん翻訳しにくいかもしれない」という翻訳者泣かせの労苦にもかかわらずやってこられたのは、作品の面白さである。アトウッドの手法はユニークである。推理小説ではないが、次に話がどう展開するのだろうか、と読者を先に急かせるサスペンスがある。読み手側がこうなるのではないか、と思いながらもとんでもないどんでん返しがある。結末についてはなかなか分からない。エンターテイメント的要素もあるが、心理描写はさすがで、哲学もあり、知的小説である。暗いテーマを扱いながらも、辛味の効いたウイットとユーモアで軽みをだす。さすがである。彼女の中では物語が枯渇するということがないのではないかと思う。(「訳者あとがき」より) 2001/09/04 発売