小説むすび | ラクロワ姉妹

ラクロワ姉妹

ラクロワ姉妹

どの家にも、隠された秘密がある。--毒々しい日常の中で繰り広げられる、重く静かな心理サスペンス小説

ノルマンディー地方バイユーに佇む「ラクロワ邸」には、姉ポルディーヌと妹マチルド、それぞれの家族が暮らしている。一見平穏なブルジョワ家庭だが、長年にわたり積み重ねられた姉妹の確執は、家の空気を重く濁らせていた。ある日、マチルドの娘ジュヌヴィエーヴは突然食事中に奇妙な病に倒れ、二度と歩けなくなる。ポルディーヌはスープの味に微かな違和感を覚え、検査の結果ヒ素が混入していたことがわかり、家族の誰かが少量ずつ毒を盛っていたのではないかという疑心を抱く。やがて、いままで沈黙に覆われていた過去が徐々に浮かび上がってくる……。閉ざされた家の中で崩れゆく心の均衡と、家族という檻が生むある運命を鋭敏な筆致で描く。

ホラーに限りなく近い強烈な心理サスペンス小説

本作を謎解きミステリーとして読むことはできないし、ミステリー的な解決を期待して読む人には困惑や怒りしか与えないかもしれない。本作は読者を選ぶだろう。しかし、だからこそ、「よくも悪くも」といってよいだろうが、本作は私たち読者に強烈な印象を残す。あたかもいびつなホラー、あるいは箍の外れた凄まじいサスペンス小説と向かい合ったかのような読後感をもたらす。これもまたシムノンなのであり、本作によってまたひと回りシムノンの読み方が広がったのではないだろうか。--「解説」より

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