小説むすび | 『ダーバヴィル家のテス』とヤヌスの神話

『ダーバヴィル家のテス』とヤヌスの神話

『ダーバヴィル家のテス』とヤヌスの神話

発売日

2024年8月28日 発売

ジャンル

『テス』に隠された双面神ヤヌスー。
19世紀のイギリス文学を代表する小説の一つトマス・ハーディ作「ダーバヴィル家のテス」。
ーヒロイン・テスの悲劇的な一生を描いた本作は、なぜか「門」や「出入口」などへの言及が多い。
テスの運命を翻弄する二人の男の名前、クレアとアレックは、よく見ると一字違いのアナグラム(字句の入れ替え)。
ーこれらは何を意味するのか? 
筆者はそこにローマ神話の双面の門神ヤヌスの隠れた存在を見抜き、ヤヌスを鍵にして物語を読み解いていく。
ギリシア・ローマ神話や聖書や、シェイクスピアやミルトンなど、西欧文化史を彩る多様な成果を縦横に駆使しながら、入念に織り上げたテクスチュアから立ち現れてくる、秘められた花にも似たテスのドラマをご覧ください。
[目次]
『ダーバヴィル家のテス』梗概ーー未読の方々のために
序章 コードとしてのローマ建国伝説とヤヌスの神話
(1)『テス』と西欧文化史
(2)『縛られたプロメテウス』から『アエネイス』、『ルークリースの凌辱』へ
(3)『金枝篇』とヤヌスの神話
第1章 名前の〈二重性〉とアイデンティティ
(1)ヤヌスとしてのクレアとアレック
(2)「自身(セルフ)」をめぐる関係性の劇とアイデンティティ
第2章 アレックによるアイデンティティの分裂とヤヌスの影
(1)冥界の地獄タルタロスへ
(2)冥界からの帰還を願って
第3章 クレアによるアイデンティティの分裂とヤヌスの影
(1)冥界の楽園エリュシオンの野へ
(2)ふたたびタルタロスへ
第4章 悲劇の構造としてのヤヌス
(1)プルトの王国にて
(2)〈青鷺〉の町アルデアにて
第5章 復讐の政治学と魂の救済
(1)〈命名〉によるアイデンティティの支配と復讐
(2)ヤヌスの神話と楽園喪失・回復神話による〈戯れ〉と〈救済〉

引用文献(参照文献を含む)
あとがき
電子版に寄せて──ヤヌスは顕現する
著者紹介

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