補陀落ばしり物語
一揆の首謀者として、父親を磔台に送った又八とお雅兄妹、難波の大店を廃嫡された空翔、親殺しの汚名を負った嘉六、お家騒動から、無実の朋輩を切り捨てた定之介…。痛恨の過去とともに、災厄の巷をはいずる「ふつうの人々」。彼らに、浄土を目指す渡海がもたらしたもの、それは観音との出会いか、それとも無意味な死を死んだ者たちへの鎮魂か。時は、元禄・宝永年間、富士山噴火、度重なる大地震の巷から船出した、みたびの渡海顛末。
一揆の首謀者として、父親を磔台に送った又八とお雅兄妹、難波の大店を廃嫡された空翔、親殺しの汚名を負った嘉六、お家騒動から、無実の朋輩を切り捨てた定之介…。痛恨の過去とともに、災厄の巷をはいずる「ふつうの人々」。彼らに、浄土を目指す渡海がもたらしたもの、それは観音との出会いか、それとも無意味な死を死んだ者たちへの鎮魂か。時は、元禄・宝永年間、富士山噴火、度重なる大地震の巷から船出した、みたびの渡海顛末。